苦手な運動を克服するためにトレーニングを重ねている。それなのに、その後に身体が重くなり、試合で思うように力を発揮できない。

そうした場合には、その時点の状態をケアするとともに、なぜその負荷に対応しにくいのか、どのような取り組みなら対応できる身体づくりにつながるのかを考える必要があります。

ゼロ化整体では、筋肉の状態と実際のパフォーマンスを手掛かりに、選手と一緒にトレーニングを工夫してきました。

現場での経験|特定のトレーニング後に、試合で力を発揮しにくくなる

支援していたある育成年代の選手は、高負荷の中長距離運動を苦手としていました。持久力と瞬発力の両方を鍛える、インターバルトレーニングのような高負荷トレーニング後に、他の選手より身体の動きが非常に重くなるという課題がありました。

特定のトレーニング後に特徴的な筋肉の状態が見られ、その負荷が続くと、試合で本来のパフォーマンスを発揮しにくくなる経過がありました。

確認していたこと 支援の中で考えたこと
特定のトレーニング後に、筋肉の状態が変わる その練習が身体にどのような負担を生んでいるのか
負荷が続くと、試合で力を発揮しにくくなる 現在の身体に対して、負荷や回復のバランスが合っているか
高負荷の中長距離運動を苦手としている 苦手な運動への対応力を、どのような過程で育てるか

ここからは、確認した経過に対する私たちの見立てです。その筋肉の状態を、老廃物が蓄積しやすい状態ではないかと捉えていました。また、酸素の供給や利用、エネルギー代謝の特性が関係している可能性も考えました。

これらは施術時の感触と経過から検討した仮説であり、血液検査や代謝測定によって原因を確定したという意味ではありません。

今の状態への対応と、負荷への対応力を育てること

この選手には、筋肉の状態に対する施術も行っていました。トレーニング後に確認した変化や施術での対応内容をトレーナーと共有し、同じ負荷をかけ続けることが、目指す身体づくりにつながっているかも見直しました。

苦手な高負荷の中長距離運動を繰り返すことだけにとどめず、その負荷に対応しにくい理由を考え、トレーニングをいろいろと試しながら、身体の反応を確かめていきました。

二つの取り組みを並行して進める

図 C-3-1
特定の負荷の後に、筋肉やパフォーマンスの問題が出る
今の動きにくさに対応する
筋肉の状態を確認し、施術する
苦手な負荷への対応力を育てる
トレーニングの方法や進め方を工夫する
その後の筋肉・動作・パフォーマンスを確認する
反応に応じて、次の取り組みを見直す

継続して確認した変化

経過を追う中で、同じトレーニングの後にも、以前のような強い動きの重さや筋肉の重い状態が生じていないことを確認しました。

その場の状態を整えることと、今後その負荷に対応できるようになること。両方をつなげて支援してきた事例です。持久力の改善幅や代謝の変化を、数値で検証した事例としては示していません。

「苦手だから増やす」の前に、身体の反応を見る

苦手な運動には、それに取り組むトレーニングが必要です。一方で、負荷を増やした結果、次の練習や試合で動けなくなっているなら、その反応も検討材料になります。

検討する視点 確認したいこと
トレーニングの目的 どの能力を高め、どんな場面で力を発揮できるようにしたいか
現在の身体の反応 その負荷の後に、筋肉と動作がどう変化しているか
その後への影響 次の練習や試合に、どのような変化が表れているか
取り組みを変えた後の反応 目指す方向へ進んでいるか。同じ問題が続いていないか

一つの感触からトレーニングの良し悪しを決めるのではなく、経過を通して、その選手に合う進め方を探ります。

選手を支えるスタッフと、どう協力できるか

この経験を現場で生かす際には、選手を担当するトレーナーや指導スタッフと、トレーニングの目的と身体の反応を共有することが重要です。

担当スタッフが把握する練習内容や競技中の様子、選手本人の感覚に、ゼロ化整体から筋肉の状態についての情報を加えます。

苦手な負荷を避け続けるのではなく、その負荷に対応できる身体づくりへ、どう進むかを一緒に考える。筋肉の側から得られる手掛かりを、施術だけでなく、育成やトレーニングの工夫にもつなげていきます。

関連する説明